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個人再生は、債務の減額を行なった上で、引き続き返済を続けていくという点において任意整理と共通していますが、任意整理は私的な手続きであるのに対し、個人再生は裁判所を介する公的な手続きとなっているため、債務者に対する制限も厳しいものとなっています。

個人再生を利用するうえでやってはいけない事項をやってしまった場合、個人再生手続き自体が認められなくなってしまうことすらあり得ます。

本記事では、個人再生を利用する上でやってはいけないことについて詳しく解説をしていきます。

個人再生でやってはいけないこと

個人再生でやってはいけないことは以下の通りです。

(1)裁判所や個人再生委員に虚偽申告や説明の拒否をする

個人再生は裁判所を介する手続きとなっており、裁判所が個人再生を認めるか否かの判断をおこないます。

個人再生の手続きの過程で、裁判所や裁判所が選任をした個人再生委員が、債務者に対し、債権者、収支、財産、借金の原因について等の財産状況に関する説明を指示することとなります。

上記説明において、収支や財産などについて虚偽の申告をしてしまうと、裁判所等の判断により個人再生が認められなくなってしまうことがありえます。

また、説明を求められた事項についての説明を拒否することでも個人再生が認められなくなってしまうことがあり得る為、説明に対する拒否もやってはいけない事項であるといえます。

(2)裁判所の求める書類や資料を提出しない

上記(1)の事項とやや重複する内容となりますが、裁判所や個人再生委員から提出を求められた書類や資料を提出しないのも大きな問題となりえます。

個人再生を利用する際には、多くの書類の提出が求められます。

各書類の収集は難しいものではないため、提出を求められた場合には、必ず提出するようにしましょう。

弁護士に依頼をすると、書類の収集についてのアドバイスをもらうことができるため、疑問点があれば弁護士に相談することをおすすめします。

また、しっかりと書類を用意することができたが、一部の提出を失念してしまったということがないように、提出前にきちんとチェックすることも大変重要です。

個人再生に必要な書類については、別の記事にて詳しく解説をしているため、そちらを参考にしていただけると幸いです。

(3)提出期限内に再生計画案を提出しない

個人再生では、再生計画という借金の減額や、今後どれくらいの期間でどれくらいの額を毎月返済していくのかといった計画を裁判所に提出する必要があります。

裁判所は、この再生計画案の審査を行った上で認可を行うこととなります。

再生計画案の提出期限は裁判所によって定められます。

再生計画案を提出し忘れて、期限を渡過してしまうと、再生手続きは廃止により打ち切られてしまいます。

再生計画案の提出の失念による手続きの廃止は、実は珍しいことではありません。期限には充分注意する必要があります。

もっとも、債権者の数が多く、債務の額がなかなか確定しないということがあります。

このような場合には裁判所に提出期限を変更し、伸ばしてもらうことも可能となっています。

そのため、やむを得ない事情がある場合には、忘れずに提出期限の伸長を申し立てるようにしておきましょう。

(4)履行テストを怠る

再生計画を提出し、認可された後に、実際に提出された計画通りに返済をしていくことができるかを審査するために、計画弁済の予定額と同額を毎月積み立てていくことが求められます。

これを「履行テスト」といいます。

履行テストを怠った場合、返済能力がないと判断され、個人再生が認められなくなってしまう可能性があるため、注意が必要となります。

(5)転職や退職などで収入を減少させてしまう

個人再生は、提出した再生計画通りに返済をしていく必要があるため、収入が安定している必要があります。

そのため、再生計画を作成した際には、返済が十分に可能なだけの収支があった場合でも、典型的な例として転職や退職により収支が減少してしまうと、個人再生が認可されなくなってしまうということがあります。

転職によって収入が上昇する見込みであっても、転職した当初は収入を継続的に得られる見込みが不明瞭であると判断され、個人再生がうまくいかなくなる可能性があります。

したがって、個人再生を考えている方は、収支が増加する見込みがある場合であっても、できる限り転職等を避けた方が良いといえます。

(6)新たな借入や浪費

個人再生をするためには、債権額が確定している必要があります。

個人再生をする予定であるにもかかわらず新たに借入をすると、債権額がいつまでも確定しないため、個人再生の申立て自体ができなくなってしまいます。

また、個人再生の予定があるにもかかわらず、新たに借入を行うことは、今後返済をきちんとしていくつもりがないと判断されてしまい、債権者から異議が提出されるほか、場合によっては詐欺罪が成立してしまう可能性さえあります。

さらに、新たな借入があったということは、債務の額が増えてしまうということであり、再生計画において、返済予定だった額を超過してしまうことも、個人再生が認められなくなる原因となりえます。

さらに個人再生の中でも小規模個人再生と呼ばれる手続きの場合には、異議を提出した債権者が議決権者総数の半数以上である場合、もしくは議決権額が議決権総額の2分の1を超える場合には、手続きが廃止されてしまいます。

議決権額が議決権総額の2分の1を超える場合とは、下記のような場合です。

(例)債権者A、Bから総額100万円を借りており、その内訳がAから60万、Bから40万という事例において、Aが異議を提出した場合には、その段階で議決権総額の2分の1を超えることとなるため、手続きが廃止によって打ち切られます。

上記は少し極端な例ですが、さらに多くの債権者から借入を行なっていた場合に、複数の債権者が異議を提出し、最終的な議決権総額が2分の1を超えるということがあり得るため、新たな借入はしないように注意しましょう。

仮に異議が提出されなかった場合であっても、不当な目的または不誠実な申立てとして却下されてしまう可能性もあります。

また、浪費をしてしまい、再生計画に基づく返済の予定額を継続的に支払えるだけの収入があるとはいえなくなってしまうと、個人再生が認められなくなってしまう可能性があります。

(7)一部の債権者にだけ返済を行う

個人再生においては、債権者平等が求められており、他の債権者への支払いが停止しているにもかかわらず、一部の債権者にだけ返済をすること(偏頗弁済といいます)も、個人再生でやってはならないことです。

よくある事例としては、家族や親族、勤務先にだけ返済をするというものがあげられます。

基本的に個人再生は銀行や貸金業者との間で行うため、身内に対しての返済は問題ないと考えて、返済をしてしまう方がいらっしゃいますが、身内への返済であっても偏頗弁済とみなされてしまうため注意が必要です。

また、他の典型的な事例としては、抵当権が設定されている物権の抵当権実行を避けるため、抵当権者である債権者に対してのみ一括返済を行うというものもあります。

偏頗弁済をした場合には、偏頗弁済をした額だけ支払う能力があったと判断され、再生計画に基づく返済総額が相対的に増額されてしまうことがあります。

再生計画の返済総額が増額されると、当初の再生計画案での返済額や収支などを総合的に勘案した上で、返済の見込みがないとして、申立ての却下、手続きの廃止による打ち切り、もしくは再生計画の不認可となる可能性があります。

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