【弁護士が解説】元配偶者が再婚したら養育費はどうなる?
「元妻が再婚したけど、まだ養育費を払う必要がある?」もしくは、「元夫が再婚し、子どもが生まれたが、約束通りに養育費を払ってくれない場合どうしよう。」という悩みを抱えている方がいらっしゃると思います。
本稿では、養育費支払義務者が再婚した場合と養育費受領者が再婚した場合に分けて、元配偶者が再婚したら養育費はどうなるかについて説明していきたいと思います。
養育費の支払いは義務か?親権者でないのになぜ養育費を支払う必要があるか?
養育費の根拠の一つとして、民法877条1項が定められた直系血族間の扶養義務が挙げられます。
そして、民法766条1項によると、協議離婚する際に、子の監護に要する費用の分担について定める必要があります。
すなわち、養育費の支払は法律上の義務であり、約束通りに養育費を支払わないと、財産が強制執行される恐れがあります。
一方、養育費支払義務者が親権者でない場合があります。
親権者でないのになぜ養育費を支払う必要があるかという疑問を持っている方もいらっしゃると思います。
確かに、日本では単独親権制度を採用し、離婚後に父と母の両方が子どもの親権を持つことを認めていません。
しかし、親権者でない父または母は子どもの直系血族であることは離婚によって変わりません。
そのため親権者でないからといって、扶養義務がある以上、養育費を支払う必要があります。
養育費支払義務者が再婚した場合、養育費の支払いに影響がありますか?
結論からいうと、原則として、養育費支払義務者が再婚しても、約束通りに養育費を支払う必要があります。
前述の通り、養育費は直系血族である父母と子との間に発生した扶養義務の一種であり、たとえ再婚しても、親子関係には何も影響しないので、当然に養育費にも影響しません。
しかし、養育費支払義務者が再婚し、扶養親族が増える場合があります。
例えば、養育費支払義務者である元夫の再婚相手が家庭主婦で、再婚した後子ども1人を作った場合、元夫の扶養親族はそれによって2人増えることになります。
その場合、養育費支払義務者である元夫の経済状況が協議離婚時から大きく変わったと評価できれば、元夫は養育費減額請求権を行使できます。
養育費受領者が再婚した場合、養育費支払義務者は養育費減額請求権を行使できますか?
ここでは、養育費受領者の再婚相手と子どもとの間に養子縁組をしているかによって結論が大きく変わります。
養育費受領者の再婚相手が子どもの養親となった場合
養子縁組は、養親と養子との間に法律上の親子関係を作る制度です。
再婚相手が子どもの養親となると、子どもの第一次的な扶養義務者は再婚相手である養親であり、養育費支払義務者は第二次的な扶養義務者となりますので、養育費減額請求権を行使できます。
養育費受領者の再婚相手と子どもとの間に養子縁組をしていない場合
この場合、原則とおりに、養育費支払義務者は子どもの第一次的な扶養義務者なので、養育費減額請求が認められない可能性が高いです。
しかし、養育費受領者が再婚によって経済状況が大きく変わる場合、養育費減額請求が認められる可能性があります。
養育費に関する問題はひやま法律事務所にご相談ください
このように、元配偶者が再婚したからといって、勝手に養育費の支払いを止めることはできません。
しかし、事情変更によって、養育費減額請求権を行使できる場合があります。
事情変更にあたるかの判断が非常に複雑なので、適切な判断及び証拠収集のためには、経験豊富な弁護士に相談することがおすすめです。
ひやま法律事務所では、養育費に関するご相談を承っております。
お困りの方はお気軽にお問い合わせください。