養育費の強制執行で相手側の会社に拒否された場合の対処法
養育費の支払いが滞ってしまった場合、裁判所を通じて相手の給与から差し引く強制執行という方法があります。
しかし実際に手続きを行っても、相手側の勤務先が対応を拒むケースがあります。
今回は、養育費の強制執行で相手側の会社に拒否された場合の具体的な対処方法を見ていきます。
勤務先が拒否するケースはあるのか
本来、給与差押さえ命令は裁判所からの正式な指示であり、勤務先はこれに従う義務があります。
しかし現実には、以下のような理由で会社が対応を拒む場合があります。
- 手続きの内容を理解していない
- 会社側が関わりを避けたいと考えている
- 相手が会社に強く抗議している
- 会社自体が法的義務を軽視している
とはいえ、勤務先は命令に従わなければならない立場です。
こうした拒否は法的に認められません。
勤務先が拒否した場合の法的対応
勤務先が拒否し、長く放置されている場合は、取立訴訟を起こします。
そこで判決を得ると、今度は相手側の会社に対して強制執行ができます。
取立訴訟
会社が任意の支払いを行わない場合、差押債権者は会社を被告として「取立訴訟」を起こします。
取立訴訟は、差し押さえた債権の給付を第三債務者に求める訴えであり、民事執行法第157条が根拠です。
会社の所在地を管轄する裁判所へ訴状を出し、証拠として、差押命令正本・送達通知や債務名義、会社とのやりとり記録などを添えます。
会社に対する強制執行へ進む
取立訴訟で勝訴が確定しても任意の支払いが無い場合、今度は会社を相手に強制執行を仕掛けます。
狙いどころは、会社の預金口座や売上債権などの財産です。
弁護士に相談するのがおすすめ
強制執行や給与差押えに関する法律は複雑で、適切な対応には専門知識が求められます。
訴訟などに踏み切る場合は、弁護士の関与が必須です。
もし訴訟を行わないとしても、早い段階で弁護士に相談すれば、最適な解決方法を検討できます。
相手や会社の対応に不安を感じたら、迷わず弁護士に相談してください。
まとめ
養育費の給与差押えで相手側の会社が拒む場合、「強制執行→会社の拒否確認→取立訴訟→会社への強制執行」という段階を踏むのが基本です。
道筋自体はシンプルでも、書類や送達の細部でつまずきやすいため注意してください。
届出の期限を意識して、手元の記録を整理しながら着実に前へ進めましょう。
自分だけで対応が難しいと感じた場合は、弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。