ひやま法律事務所 > 記事 > > 法人破産手続の流れ|必要な期間や費用の相場など

法人破産を行うということはその会社がなくなることを意味します。そのためできるだけ避けたい手続ではありますが、費用の負担も発生しますし、事業者としては万が一のことも想定して理解をしておきたいところです。

当記事では基本的な破産の流れと必要な期間、そして発生する費用について解説しますので、今後の備えとして全体像を掴んでおいてください。

法人破産の概要

破産は事業の継続が困難になってしまった後、最後に取り得る債務整理の手段です。民事再生手続や会社更生手続などでの解決ができない状況にまで追い込まれて仕方なく選択することも少なくないでしょう。

そして法人破産の手続を進めると最終的には法人格が消滅し、会社も解散をすることとなります。

しかし破産という手続を必要以上にマイナスに捉える必要はありません。会社を消滅させることがこの制度本来の目的ではありませんし、経営者による新たな事業の立ち上げや生活の再建にもつながる意義ある制度です。

また、代表者ら役員に一定の義務が課されるなど制約もある手続ですが、弁護士がついていれば心配も必要ありません。申立の方法や準備作業、破産手続中の裁判所や債権者とのやり取りなども任せることができます。

破産手続の流れ・期間

破産手続の一般的な流れはおおよそ下表にまとめた手順で進んでいきます。

 

法人破産終結までの手順

詳細や期間

弁護士への依頼

弁護士に法人破産に関して相談。

負債関連、債権者情報を伝え正式な依頼を出す。各種契約書や請求書、督促状などの資料を提出。正式依頼を受けた弁護士は資料を基に特定した債権者に「受任通知」を発送する。

申立準備

受任通知の発送後、破産手続の申立をするための準備を始める。売掛金の回収や未払い賃金の支払い、従業員の解雇、賃借物件の明け渡しなどの処理を進める。

※必要な期間は1ヶ月ほど。

地方裁判所への申立

通帳、不動産の権利証、各種証券などの証拠書類を備え、作成した破産申立書を地方裁判所に提出して申立を行う。

破産手続開始決定

申立書の提出後、裁判所から要請を受けると追加の資料を準備・提出する。提出書類や法律上の問題もなければ裁判所から破産手続開始決定が出される。管財事件として破産管財人が選任されるケースもあり、破産管財人から追加資料の提出を求められることもある。

※必要な期間は2週間から1ヶ月ほど。

債権者集会

債権者集会(債権者へ、破産に至った背景などを説明する場)のため、裁判所へ出頭。2回目、3回目と複数回開催されることもある。

※必要な期間は3ヶ月ほど。

※次回の債権者集会は通常2ヶ月以内に行われる。

終結・廃止の決定

債権者への配当が終わると破産手続が「終結」となる。配当するだけの財産が残っていないときは「廃止」となる。

※必要な期間は数ヶ月~半年ほど。

※代表者も同時に破産手続の申立をした場合、その後代表者個人についての免責許可の審理が行われ、免責決定から免責確定まで数週間ほどかかる。

 

手続全体を通してかかる期間(弁護士への依頼から終結までの期間)は、半年~2年の範囲に収まることが多いです。期間の幅が広いですが、これは破産を行う会社の負債額や債権者数の多さによって必要な作業量が変わってくるためです。

規模が大きく複雑な権利義務関係が構築されている場合、その分必要な期間も長くなりますし、手続にかかる労力も大きくなります。

ただ、同じような事案でも申立を行う管轄裁判所によっては必要な期間が異なります。裁判所によって手続の運用方法が異なるためです。

経営者・役員に課される義務

法人破産を進める過程では経営者・役員の方に一定の義務が課されます。

もっとも重要なことは「会社財産に関する説明義務」です。裁判所や破産管財人から説明をするよう求められることがありますが、その際説明を拒絶したり虚偽の説明をしたりする行為には罰則が適用されることもありますので注意が必要です。

代表者個人も破産を行う場合はさらに破産者としての制約も受けることになりますが、いずれも破産手続の集結・廃止、免責の確定後は普通の生活に戻ることができます。

代表者個人の破産は別問題

「法人破産に伴って代表者も破産をしないといけない」といったルールはありません。代表者個人と法人はあくまで別の人格、存在であって、会社の負った債務を「代表者だから」という理由だけで肩代わりする必要もないのです。

ただし、現実には会社が融資を受ける際などに代表者個人が連帯保証人になってしまっているケースもあり、連帯保証人としての弁済義務を負いきれず一緒に破産してしまうこともあります。

法人破産にかかる費用

法人破産を進めるうえで必要となる費用には大きく①裁判所に納める費用と②弁護士費用の2種類があります。

前者の「裁判所に納める費用」には申立手数料、郵便切手代、予納金があり、特に金額が大きくなりやすいのは「予納金」です。

予納金には破産管財人に対する報酬が含まれていますので、数十万円以上、100万円以上かかることもあります。金額は固定ではなく、破産管財人の仕事量が多いほど金額も大きくなるため、主に負債総額や債権者数の規模に応じて増額されます。

後者の「弁護士費用」も破産管財人への報酬と同じように考えることができます。要は弁護士の仕事に対する報酬ですので、仕事量が多くなるほど金額も大きくなります。料金設定は法律事務所によって異なりますので、依頼前に見積もりを出してもらうと良いでしょう。

費用を捻出する方法

法人が破産をするにも決して少なくない費用が発生します。「想像より大きな金額だ」を思われた方もいるのではないでしょうか。

破産費用が準備できないと破産手続は進められませんので、少なくとも破産費用の確保はしておかないといけません。

現にキャッシュがなかったとしても次に掲げる方法で費用を捻出できる可能性がありますので、一度自社の財政状況を見直してみましょう。

 

  • 売掛金の回収
  • 車両や機械の売却
  • 店舗等の施設の売却
  • 敷金や保証金の回収
  • 保険の解約返戻金の回収
  • 代表者・役員の親族から援助を受ける など

 

その他困ったことがあるときは早めに弁護士に相談しておきましょう。債務整理・法人破産に強い弁護士であればさまざまな観点から解決策を模索し、現状における最適な案の提示をすることができます。

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