目次
任意整理とは
任意整理とは、将来利息や遅延損害金をカットすることで、3〜5年の期間で返済を続けていくための手続きとなっています。
任意整理は、他の債務整理手続きの自己破産や個人再生とは違って、裁判所を通す必要がないため、生活への影響やデメリットが比較的少ない手続きとなっています。
司法統計によると令和2年の個人再生利用者が12,064人、自己破産利用者が71,678人となっており、任意整理は裁判所を通さないため具体的な数が出ていませんが、利用者は個人再生と自己破産を上回っているとされています。
任意整理のメリット
任意整理のメリットをいくつか紹介していきます。
督促や取り立てがなくなる
これは、任意整理に特有のメリットというわけではなく、どの債務整理手続きでも共通している点ですが、債務整理を弁護士に依頼した段階で督促や取り立てがなくなります。
その理由としては、弁護士に依頼をした段階で、弁護士は依頼者の代理人となり、今後債務に関する連絡は弁護士にするようにといった、通知を債権者に送付することとなります。
この通知は受任通知と呼ばれるもので、依頼者が弁護士に依頼をすると委任契約が締結され、その契約が成立したことから今後の連絡先は弁護士にするようにといったものとなります。
利息がカットされ、元金のみを返済する
任意整理を利用すると、将来利息を含めた利息や遅延損害金をカットすることで、元本のみの返済を続けていくことができます。
現在債務を抱えていらっしゃる方は、利息や遅延損害金が膨らみすぎた結果、毎月決まった額を返済してもなかなか元本が減っていかないという状況に陥ってしまっている方がいらっしゃいます。
そのため、利息や遅延損害金を減らすことのできる任意整理は、支払った額だけ債務が減っていくため、元本が減らずに困っていた方には非常におすすめの手続きとなっています。
任意整理したい借入先を選ぶことができる
多重債務者となっている方は、一部の債権者の利息や遅延損害金が多く返済が難しいといった方がいらっしゃいます。
そこで任意整理では債権者を選択して、利用することができるというメリットがあります。
債権者を選択することができることのメリットは、担保付きの借金がある場合には、それを任意整理の対象から外すことによって抵当権の実行を避けることができるという点です。
これは、同じく債務の額を減らすことができる個人再生との大きな違いとなっています。
個人再生の場合には、債権者を選択することができず、全ての債権者に対して債務整理を行うこととなります。
財産を維持することができる
自己破産を利用した場合には、財産的価値のあるものについては、お金に換えた上で、各債権者へと配当されることとなります。
しかしながら、任意整理の場合には私的な手続きとなっているため、財産の処分が必要ありません。
職業制限がない
自己破産を利用した場合には、一定の職業に就業できなくなるという制限があります。
職業制限は士業に関するものが多く、弁護士、公認会計士、司法書士、行政書士、税理士などは、欠格事由として破産者があるため、これらの職業に就くことができなくなります。
職業制限については、上記のものだけではなく他にもあるため、職業制限を受ける職業に就業している場合には、任意整理や個人再生を利用することをおすすめしています。
どのような理由で借金をしたかは関係がない
自己破産の場合には、借金の理由がギャンブルや浪費となっていれば、利用をすることができません。
しかしながら、裁判所を通さない私的な手続きである任意整理の場合には、借金の理由がいかなるものであっても、ほとんど関係なく利用することができます。
任意整理のデメリット
任意整理のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
下記で詳しく見ていきましょう。
元金がカットされるわけではない
任意整理は利息や遅延損害金をカットすることで返済を容易にすることができますが、あくまで元金をカットしてもらえることはほとんどありません。
これに対して、個人再生の場合には、元金を含めた利息や遅延損害金をカットした上で、返済を続けていくことができるというメリットがあります。
任意整理を行う債権者を選ぶことができ、抵当権の実行を避けることが可能な任意整理を利用するか、元金までカットをしてくれる個人再生を選択するかは、弁護士に相談の上でどちらが良いか決めた方がいいでしょう。
ブラックリストに掲載される
これは任意整理だけではなく、個人再生や自己破産を利用した場合であっても同様ですが、ブラックリストに載ることとなります。
ブラックリストとは俗称であり、正式には信用情報機関に事故情報が登録されることを指します。
信用情報機関には、CIC、JICC、JBAの3種類があり、それぞれ5〜10年の間、事故情報が登録されることとなります。
この事故情報が登録されている間は、新たな借入、クレジットカードの新規作成、ローンや分割払いの利用などができなくなるため、大変不便となります。
もっとも、家族がいる場合には、家族の信用情報まで登録されるわけではないため、名義人が債務整理を行なった人でなければ問題なく、クレジットカードを作成したり、ローンを利用したりすることができます。
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