自己破産を利用する場合には、手続きの流れがどうなっているのかを知っていることで、手続き前後でどのように行動すれば良いのかもわかるため、当事務所でも流れの把握を推奨しています。
自己破産には「少額管財」と「同時廃止」の2種類の手続きがあります。
当記事では、それぞれの手続きの流れを詳しく解説していきます。
少額管財の手続きの流れ
少額管財とは、自己破産を利用する方に高額な財産がある場合や免責不許可事由がある場合に、裁判所が選任した破産管財人が財産や免責不許可事由の有無を調査する手続きとなっています。
手続きの終了までは6ヶ月程度の時間がかかります。
少額管財事件は、借金が高額で手続きに異議を唱える債権者がいる場合や個人事業を行なっている場合、20万円をこえる財産がある場合、免責不許可事由がある場合に適用される手続きとなっています。
①弁護士に相談、依頼
自己破産を検討している場合には、まず弁護士に相談をしましょう。
弁護士から自己破産の説明を受け、手続きを利用することを決定した場合には、その場で弁護士と委任契約を締結します。
②受任通知の送付
弁護士は依頼者と委任契約を締結すると、各債権者に対して受任通知を送付します。
受任通知は、債務者が弁護士と委任契約を締結した旨と今後の債務に関する連絡の窓口が弁護士になるといった旨を通知することができます。
この受任通知の送付により、債権者からの請求や督促がストップします。
③取引履歴の開示と引き直し計算
弁護士は受任通知の送付と同時に、債権者に対して取引履歴の開示を求めます。
そして取引履歴が開示されると、弁護士は開示された情報をもとに、法定金利による引き直し計算を行い、債務額を確定します。
過払い金が発生していた場合には、返還請求をすることができます。
④申立て書類の準備
依頼者の方は、申立て書類の下書きや必要書類の収集を行います。
書類の収集に関しては、弁護士がサポートするため、心配する必要はありません。
依頼者から提出された資料をもとに、何度かやり取りをしながら申立て書類を完成させていきます。
⑤申立て・即日面接
裁判所で申立てを行い、その場で裁判官と面接を行います。これを即日面接といいます。
即日面接は弁護士のみが出席するものであり、依頼者のかたが出席する必要はありません。
⑥破産手続き開始決定
即日面接が行われた翌週水曜日の午後5時に、破産手続き開始決定が裁判所から出されます。
この時に裁判所が破産管財人を決定します。
この破産管財人は弁護士であることがほとんどとなっています。
⑦管財人面接
即日面接の1〜2週間後に、管財人の事務所等において管財人面接が行われます。
管財人面接では、借金の内容や理由、時期、収支や財産の内容、面積の問題点などに問題がなければ30分程度で終了します。
基本的には管財人からの質問に正直に答えるだけで大丈夫なのですが、ここで虚偽の回答をしてしまった場合には、免責が不許可となってしまうことがあるため、注意が必要となります。
⑧債権者集会
裁判所への申立てから3〜4ヶ月後に、裁判所において裁判官・破産管財人とともに債権者集会が行われます。
この債権者集会には、依頼者の方も出席する必要があります。
債権者集会では、破産管財人が財産や収支の報告と免責についての意見申述を行います。
基本的に免責を許可することに異議のある債権者がいない限り債権者集会は5分程度で終了します。
⑨免責許可決定と許可決定の確定
債権者集会から1週間程度で、裁判所から免責許可決定が依頼先の弁護士事務所に送付されます。
免責許可決定が出てから約1ヶ月で免責許可決定が法的に確定します。
同時廃止の手続きの流れ
同時廃止は、自己破産をする方に高額な財産がない場合であって、免責についても破産管財人が調査をする必要のない場合に、破産手続き開始決定と同時に破産手続きを終了し、免責手続きだけを行うという非常に簡易的な手続きとなっています。
同時廃止の場合には、3〜4ヶ月程度で手続きが終了します。
大まかな流れについては、少額管財事件とあまり変わりませんので、共通する手続きについては説明を省略し、同時廃止固有のものについて解説をしていきます。
①〜⑥までは、少額管財と同様のため省略します。
⑦免責審尋
破産手続き開始決定が裁判所から出されると、この時に免責審尋期日が決定します。
免責審尋では裁判官との面接を行います。
審尋の内容は、破産者の破産の理由や申立て内容に変更がないか、免責不許可事由がないかなどに関する質問がされるにとどまります。
裁判所によっては、免責不許可事由がない場合には審尋を省略していることもあります。
⑧免責許可決定
免責審尋の約1週間後、裁判所から免責許可決定が依頼先の弁護士事務所に送付されます。
免責許可決定後、約1ヶ月で免責許可決定が法的に確定します。
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