目次
任意整理は、借金問題を抱える方が債権者と交渉し、無理のない返済計画を立てることで経済的な再建を目指す手続きです。しかし、任意整理が成立した後も返済を滞納してしまうことでさまざまな問題が発生してしまいます。
当記事ではその滞納によって起こりうる具体的な問題と、そうした事態に陥らないための対策について解説をしています。
任意整理後の滞納で起こり得る問題
まずは、任意整理をした後に滞納をするとどんな問題が起こり得るのか、この点について説明していきます。
期限の利益の喪失
任意整理では、利息のカットや長期分割払いなど、債務者にとって有利な条件で和解が成立することが多いです。
この有利な条件には「期限の利益」と呼ばれる重要な概念が関わっており、これは「分割払いで返済できる権利」とも言い換えることができます。債権者は本来、債務者に対して一括返済を請求する権利を持っているのですが、任意整理の和解によってこの権利を一時的に放棄し、分割払いの受け入れに同意します。
ただし、この期限の利益は無条件に与えられるものではありません。多くの場合、和解契約には「期限の利益の喪失条項」が含まれており、「債務者が一定期間(一般的には2~3ヶ月の間)返済を滞納したときは期限の利益を喪失させる」というルールが設けられます。
つまり、任意整理後に返済が滞ってしまうとせっかく任意整理によって得た利益も失うこととなり、債務を一括で返済しないといけなくなるのです。これは債務者にとってとても大きな負担となり、経済状況をさらに悪化させるリスクがあります。
強制的な債権回収
返済が滞ると、債権者は法的手続きを通じて債権回収を図る可能性が出てきます。
もっとも注視すべきは「強制執行」です。債務者の財産を差し押さえ、売却して、そうして得た金銭を債務の弁済に充てるのです。
差し押さえの対象となる財産は給与や預貯金、不動産など多岐にわたり、例えば給与が差し押さえられると毎月の収入から一定額が天引きされてしまいます。不動産が差し押さえられると競売にかけられてしまい、その後売却代金が債権者へと支払われます。
信用情報の悪化
任意整理を行った時点で、債務整理を行ったという事実が信用情報として記録されてしまいます。金融機関からすると「過去に借金の返済で問題を抱えた経験がありリスクが高い人」とわかるようになるため、任意整理後は一定期間新たな借入やクレジットカードの契約などが困難となってしまうでしょう。
そして任意整理をした後の返済で滞納をするなどさらに問題を起こしてしまうと、信用情報がさらに悪化するおそれがあります。個人再生や自己破産をせざるを得ない状況になるとその分信用情報にも響いてきますし、再度任意整理として調整することができても借金完済までに長い期間を要してしまい信用情報が回復するのが遅くなってしまいます。
大きな問題を避けるためにすべきこと
上記のような問題を避けるため、任意整理後に滞納をしてしまったときは次の対処法をご検討ください。
弁護士への早期相談
任意整理後に返済が滞ってしまった場合、深刻な事態を回避するためには弁護士に相談することが重要です。
債務整理に強い弁護士なら状況を的確に把握し、最適な解決策を提案することができます。滞納が長引くほど債権者との和解が難しくなり法的措置を取られるリスクも高まりますので、できるだけ早めに相談することをおすすめします。
債権者への誠実な対応
弁護士を通じて、滞納の事実と理由、そして今後の返済計画を債権者へ誠実に伝えることが大事です。そこで以下の点に注意して債権者への連絡を行いましょう。
- 滞納の理由を率直に伝える
→ 病気や失業、予期せぬ出費など、具体的な理由を伝えることで債権者からの理解が得られ、今後の対応を検討してくれるかもしれない。 - 今後の返済計画を提示する
→ 滞納分をいつまでにどのように返済するのか、具体的な計画を提示。債権者からの理解を得ようと無理な返済計画を提示しても同じことの繰り返しになる危険性が高いため、収入や支出の状況を踏まえた現実的な返済計画を作成することが重要。 - 謝罪の気持ちを伝える
→ 滞納してしまったことに対する謝罪の気持ちを伝えることが、債権者との関係に関わる可能性がある。
返済計画の見直し
返済が滞ってしまった理由を踏まえ、前に提示した返済計画を見直してください。
収入に見合った無理のない返済計画に変更し、再び滞納してしまうリスクを減らすため債権者と交渉して返済期間の延長や毎月の返済額の減額を求めましょう。当然、任意整理では債権者の同意が必要ですので一方的な提案で解決することはできません。
もし、債権者との個別の交渉で和解をするのができなさそうなときは、別の債務整理も検討すべきです。個人再生だと手続きの負担は大きくなりますが弁護士がついていればそれも軽減でき、返済額についても大きく圧縮できる可能性があります。
滞納後・滞納しそうなときは早めに対応しよう
任意整理後の生活を安定させるためには計画的な返済を徹底することが不可欠です。万が一支払いが難しい状況に陥った場合でも早期に弁護士へ相談し、問題がより深刻になる前に手を打つようにしてください。
カテゴリー
タグ
- ひやま法律事務所にお任せください!
- ひやま法律事務所では多くの債務整理についての解決実績がございます。
まずはお気軽にご相談ください!
メール相談24時間受付中。LINE相談も可能です
