土地建物の明け渡し請求について
土地建物の明渡請求について、基本的には、自分に土地や建物の所有権があり、相手方が土地や建物を占有していれば、所有権に基づく返還請求として、土地や建物の明渡請求をすることができます。もっとも、相手方の占有を正当化するような事由がある場合は、所有権に基づく返還請求が認められないことになります。そして、占有を正当化するような事由の一つとして、賃貸借契約に基づいて占有しているということがあります。したがって、賃貸借契約を占有者と締結している場合で、何らかの事情で明渡請求をしたい場合は、まず、賃貸借契約関係を解消する必要があります。
賃貸借契約については、民法601条以下に規定があります。しかし、賃貸借契約の中でも、土地や建物を目的とする不動産賃貸借契約については、その不動産は継続的に生活するなどの基盤であり、それが保護されなければ、安定した生活や経済活動を営めなくなる危険があるため、十分な存続期間と賃貸借契約の更新拒絶の制限などが、借地借家法という法律で定められています。このように、不動産賃貸借契約においては、賃借人の地位の保護が図られているため、賃貸借契約関係を終了させるには注意が必要です。
例えば、不動産賃貸借に限らず、一般的に契約期間中に賃貸借契約を終了させる方法としては、契約の解除(民法540条以下)をすることが考えられます。もっとも、契約の解除をする場合、相手方に債務不履行があることが必要であるだけでなく、賃貸借契約については、信頼関係破壊の法理と呼ばれるものがあり、当事者相互の信頼関係を基礎とする継続的契約であることから、信頼関係を破壊するような事情がないと、単に債務不履行があるだけでは解除ができないとされます。
次に、契約期間が満了すれば、不動産賃貸借契約は終了しますが、前述のように、不動産賃貸借については、借地借家法で、特に、建物を目的とする場合、いわば自動的に契約の更新が認められています(借地借家法26条参照)。そして、建物賃貸人が更新を拒絶するには、正当の事由がなければ認められません(借地借家法28条)。更新後は、期間の定めがないものとされます(借地借家法26条1項ただし書き)。そして、期間の定めがない場合は、いつでも解約の申し入れができますが(民法617条1項前段)、建物賃貸借契約の場合には、解約にも正当の事由が必要とされます(借地借家法28条)。
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